天理教教祖殿逸話篇


「小さな埃は」

明治十六年頃のこと。教祖から御命を頂いて、当時二十代の高井直吉は、お屋敷から南三里程の所へ、おたすけに出させて頂いた。身上患いについてお諭しをしていると、先方は、「わしはな、未だかつて悪い事をした覚えはないのや。」と、剣もホロロに喰ってかかって来た。高井は、「私は、未だ、その事について、教祖に何も聞かせて頂いておりませんので、今直ぐ帰って、教祖にお伺いして参ります。」と言って、三里の道を走って帰って、教祖にお伺いした。すると、教祖は、 「それはな、どんな新建ちの家でもな、しかも、中に入らんように隙間に目張りしてあってもな、十日も二十日も掃除せなんだら、畳の上に字が書ける程の埃が積もるのやで。鏡にシミあるやろ。大きな埃やったら目につくよってに、掃除するやろ。小さな埃は、目につかんよってに、放っておくやろ。その小さな埃が沁み込んで、鏡にシミが出来るのやで。その話をしておやり。」と、仰せ下された。高井は、「有難うございました。」とお礼申し上げ、直ぐと三里の道のりを取って返して、先方の人に、「ただ今、こういうように聞かせて頂きました。」と、お取次ぎした。すると、先方は、「よく分かりました。悪い事言って済まなんだ。」と、詫びを入れて、それから信心するようになり、身上の患いは、すっきりと御守護頂いた。

花疥癬のおたすけ
神の方には


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