天理教教祖殿逸話篇


「皆丸い心で」

明治十六、七年頃の話。久保小三郎が、子供の楢治郎の眼病を救けて頂いて、お礼詣りに、妻子を連れておぢばへ帰らせて頂いた時のことである。 教祖は、赤衣を召してお居間に端座して居られた。取次に導かれて御前へ出た小三郎夫婦は、畏れ多さに、頭も上げられない程恐縮していた。 しかし、楢治郎は、当時七、八才の子供のこととて、気がねもなくあたりを見廻わしていると、教祖の側らに置いてあった葡萄が目に付いた。それで、その葡萄をジッと見詰めていると、教祖は、静かにその一房をお手になされて、 「よう帰って来なはったなあ。これを上げましょう。世界は、この葡萄のようになあ、皆、丸い心で、つながり合うて行くのやで。この道は、先永う楽しんで通る道や程に。」と、仰せになって、それを楢治郎に下された。

思い出
さあ、これを持って


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