天理教教祖殿逸話篇
「よう苦労して来た」
泉田藤吉は、ある時、十三峠で、三人の追剥に出会うた。その時、頭にひらめいたのは、かねてからお仕込み頂いているかしもの・かりものの理であった。それで、言われるままに、羽織も着物も皆脱いで、財布までその上に載せて、大地に正座して、「どうぞ、お持ちかえり下さい。」と言って、頭を上げると、三人の追剥は、影も形もない。 余りの素直さに、薄気味悪くなって、一物も取らずに行き過ぎてしもうたのであった。そこで、泉田は、又、着物を着て、おぢばへ到着し、教祖にお目通りすると、教祖は、 「よう苦労して来た。内々折り合うたから、あしきはらひのさづけを渡す。受け取れ。」と、仰せになって、結構なさづけの理をお渡し下された。