天理教教祖殿逸話篇
「麦かち」
お屋敷で、春や秋に農作物の収穫で忙しくしていると、教祖がお出ましになって、 「私も手伝いましょう。」と、仰せになって、よくお手伝い下された。 麦かちの時に使う麦の穂を打つ柄棹には、大小二種類の道具があり、大きい方は「柄ガチ」と言って、打つ方と柄の長さがほぼ同じで、これは大きくて重いので、余程力がないと使えない。が、教祖は、高齢になられても、この「柄ガチ」を持って、若い者と同じように、達者にお仕事をして下された。 明治十二、三年頃の初夏のこと。ある日、カンカンと照りつけるお日様の下で、高井や宮森などが、汗ばみながら麦かちをしていると、教祖も出て来られて、手拭を姉さん冠りにして、皆と一しょに麦かちをなされた。 ところが、どうしても八十を越えられたとは思えぬ元気さで仕事をなさるので、皆の者は、若い者と少しも変わらぬお仕事振りに、感歎の思いをこめて拝見した、という。